堺市の変人

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悲しい事件

2018年1月、愛知県豊田市で三つ子の次男を畳に叩きつけて死亡させたとして傷害致死罪に問われた30歳の母親に対して、求刑懲役6年に対して懲役3年6ヶ月の実刑が出た記事を読みました。

「被告は犯行時、うつ病の状態だったが完全責任能力があったと認定」「無抵抗、無防備の被害者を畳の上に二回たたきつける態様は、危険性が高く悪質」との量刑理由があったようです。

 

私には、子供が居ませんので育児の大変さは体験していません。

しかし、一人の赤ちゃんを育てるだけでも大変であろう事は軽く想像がつきます。

そんな赤ちゃんを、しかも一度に三人も一人で面倒見続けているならノイローゼになってもおかしくありません。

この母親は、出産前に子育ての不安を市に相談していますが、双子育児のガイドブックと多胎育児経験者の会のチラシを渡されただけで、不安の解消には至らなかったようです。

 

出産後は、子供を一時的に預けられるファミリーサポートセンターの利用を勧められましたが、三人の乳児を連れて事前面談に行くことが難しく利用する事が出来なかったそうです。

 

一人の乳児を連れているお母さんでも、ベビーカーに荷物を沢山ぶら下げておられます。

「替えのオムツやお尻ふき、ビニール袋、タオル、着替え、ミルクセット、授乳ケープ、お気に入りの玩具、母子手帳・・・」

ネットで調べてみると最低でもこれだけは必要とありました。冬場にはフリース等の防寒具も必要になってきます。

事前面談にこれらの荷物を持って、一人で乳児3人というのは確かに大仕事です。(私には出来ません)

 

多胎児の場合だけでも事前面談を訪問で行う等の仕組みが有れば!と思ってしまいます。

この母親の両親は、飲食店の経営に忙しく母親が親に頼ることは出来なかったようです。

夫は半年間の育休を取得していましたが、おむつの取り換えに失敗したり、抱っこをすると子供が泣いたりする等で、次第に夫を頼らなくなったとあります。

夫もまた父親としては一年生、余裕が無くどうすれば良いか分からない状態だったようです。

 

日本人はとかく母性を神聖化し、育児は母親が出来るものと決め付けてしまっている感じがします。

それ故に、こういう事件が起きると母親が絶対的な悪者になってしまうようです。

 

確かに我が子を叩きつけて死に至らしめた行為は許されるものではありません。

ただ、今回の事件は、他の幼児虐待事件とは違い、怒りより悲しみが湧いて来ます。

責任能力があったと裁判官は言っていますが、子供を叩きつけた瞬間に本当に判断能力はあったのでしょうか?甚だ疑問です。少なくとも、ノイローゼやウツの状態がピークに達していたような気がします。

 

昔ならば、ちょっと出かける間には、近所のおばちゃんに子供を預けるような事は普通にあった話です。

しかし、今では子供のアレルギーとか、事故にあった時の責任問題とか色々あって簡単に他人と子供の預かり合いが出来ない時代になっています。

近くに頼れる親兄弟が居る人は良いですが、そうでない場合、母親は悩みを抱えながら孤立していきます。

 

少子化が大きな問題となっている今日、子供を産み育てやすい環境を作るのは行政の役目です。

行政が間に入って孤立するお母さんを救済するシステムが必要なようです。

 

例えば、お年寄り(といっても70歳前後まで?)等のボランティアを募って、無料で乳児や幼児の一時預かりを行いお母さんを一時でも育児から解放してあげられるような制度があると良いのですが・・・

 

今の世の中、昔に比べて格段に便利になっていますが、子供や年寄りなどの弱者にとって本当に優しい社会なのか立ち止まって考えていかなくてはならない時がきているような気がします。

 

今回の事件で、一番悲しみ悔やんで居られるのは、お母さん(被告)のような気がします。