刑事コロンボ「忘れられたスター」
刑事コロンボは、ボサボサ頭とヨレヨレコート・安葉巻がトレードマークのピーター・フォーク演じるロサンゼルス市警の刑事が、完全犯罪と思われる事件を、パズルを解くように推理し、犯人を追い詰めていきます。
ストーリーとしては、一般の刑事物語と何ら変わりませんが、冴えないデカを見事に演じ「コロンボ像」を確立したピーター・フォークの演技は秀逸です。
普通の刑事物でしたら出て来る刑事は、スマートでカッコ良いというのが定番ですが、コロンボは、はっきりってダサイです。
そんなダサイ刑事が、難事件を次々に解決していくものですから、私なんかもコロンボに親近感が湧いて来ます。
もう一つ、「刑事コロンボ」で重要なポイントは、回(物語)毎に変わる犯人役等の配役が豪華な事です。
最近、NHKで放送された「忘れられたスター」も、相手役に出演しているのが「ジャネット・リー」、彼女はヒッチコックの「サイコ」で有名です。
彼女のピークを過ぎた大女優の演技は、さすがと思わせます。
また、この「忘れられたスター」では、ジャネット・リーに加えて助演男優のジョン・ペイン、執事役のモーリス・エバンスのイブシ銀のような演技が光っていました。
主演、助演二人(男女)、共演(執事)が素晴らしい演技をしています。
それに、一般の刑事物のような悪人が出て来ません!
弱い人間は居ますが、悪人が出てこない刑事物というだけでも、「忘れられたスター」は、コロンボシリーズの中でも名作と言えそうです。
夫を自殺に見せかけて殺した犯人の大女優グレースは、徐々に記憶を失っていく脳動脈瘤、余命が1~2週間か長くても2月と宣言されていました。(勿論本人は知りません)
グレースのパートナーのネッドはラストシーンでグレースを庇うため、「私が殺した」と自白します。
「あんたの自白なんて、すぐにひっくり返りますよ」
「頑張ってみせる、2ヶ月間は」(彼女の命が終わるまで)
「そう、それがいいね」という会話でエンドとなります。
殺された夫も含め、全ての人が彼女を愛していたようです。