「再生医療」がペットの世界に
京都大学の山中伸弥教授らが「iPS細胞」の研究でノーベル賞を受賞した事は記憶に新しいものですが、痛んだ臓器を他の細胞から作った臓器に入れ替えるといったSF世界の夢物語が今では世界の研究者の大きな課題となって実現しようとしています。
「癌化」や「定着性」「有効性」などの問題の解消に向け世界的に研究が進められ、一部では臨床研究や実際の治療に使われています。
古くなったり使えなくなった部分を新しいものに替えるというのは誠に理にかなった理想的な治療のように思われます。
しかし、日常の治療で「再生医療」を私が享受できるかというと、そんな簡単な事でも無いようです。
まず、医療費が何百万円とかなってしまったら無理です。
諦めるしかありません。
それともう一つ、私も高齢者の仲間ですが、一つの臓器を取り替えても身体全体、全ての臓器が古くなっていますので、一つだけ替えても仕方が無いのでは?
そんな気もします。
人間の寿命をどのように捉えるのか?
難しい問題です。
人生において私は「白秋期」、後10年もすれば「玄冬期」という時期を迎えます。
終活も頭をよぎる「玄冬期」の老人が、ここが悪い、あそこが古いと臓器を取り替えるのも変な感じがします。
勿論、家族の大黒柱となっている「朱夏期」の若者は、家族の為にも健康寿命を延ばしていくのは当然の事ですが、例えば私が90歳を越えても「再生医療」が必要かというと難しい問題です。
今でも「延命治療」「安楽死」といった微妙な問題がありますが、その中での「再生医療」をどう位置付けるか、真剣に考えなければならない時代が到来しているようです。
人は生まれて死ぬように出来ています。「死」は怖い事では無く極自然な出来事です。
死ぬように出来ている人の寿命を何処まで伸ばす事が許されているのか?
神仏のみぞ知るといった所でしょうか?
そうそう、最近はペットの再生医療が広がっているようです。
人間と違い規制が緩いペットの方が思い切った施術が出来ますので当然の事ですが、高額な医療費のため受けたくても受けられない人が多く居る中でのペットに対する最先端医療の提供というのも微妙な問題です。
我が家の凡犬と凡猫が「再生医療」となったら必ず迷ってしまいます!
犬猫よりも煩悩の多い(純真で無い)私なんかが、「再生医療」は縁が無い生き物かも知れません。