堺市の変人

堺市から情報を発信する変人親父です

「健康寿命」・・・

健康寿命」という言葉を良く耳にするようになりました。

癌や心疾患の治療が進歩した事により、介護や医療に頼らずに日常生活を暮らせる「健康寿命」が延びるというのは素晴らしい事です。

今後、益々医療技術の進歩により健康寿命が延びていく事は確実なようです。

 

しかし、「健康寿命」が延びただけで人々が幸せになれるかというと、そう簡単な問題ではありません。

医療技術が進んでいる米国でも、どれだけの人が高度な医療を享受出来ているか疑問が残ります。これは医療保険制度の違いもありますが、基本となる医療費が日本と比べると一桁高くついてしまいます。米国では、高過ぎる医療費のせいで破産する人が居ます。

 

日本でいう「特養」の機能を持つ「ナーシングホーム」等も年間700万円(実費)と日本の10倍位なようです。

公的介護保険がない米国では、代わりに「メディケア」や「メディケイド」により政府から支払いを受けられるようですが、日本に比べると条件が厳しく、結局、生活困窮者向けの「メディケイド」に移行していく事が多いようです。

要は、余程の富有層か全く財産が無い困窮者以外は金銭的に「特養」にも入居が難しいようです。

 

お金が無ければ暮らし難いと言われている米国では、大半の州で自殺率が上昇しています。

ノースダコタ州では、2014年~16年の自殺率が57.6%も増加していますので、「健康寿命」どころの騒ぎではありません。

 

政治の理想が実現し難い「ポピュリズムの台頭」、富が一部に集中し多くの人々に還元されない「貧富の格差」、弱肉強食を思わせる「自国最優先主義」・・・

新しい時代、新たな課題に対して利己主義で保身するといった潮流を変えない限り、いくら「健康寿命」が延びたところで「幸福感」を感じる社会の実現は難しいような気がします。

 

日本も他人事ではありません!

2015年の自殺者数は24,000人、8年間のベトナム戦争での米兵の犠牲者が58,000人ですので、単純計算では年間で7,000人余りです。

今の日本は、ちょっとした戦争状態?

 

健康寿命」を延ばす事は大切な事ですが、生活の「質」や人々が生きてゆく「環境」の整備、「幸福感」の実現といった事にも資源(お金)を投入していく事が今まで以上に必要な気がします。