堺市の変人

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暖簾(のれん)

最近は、飲み屋でも「営業中」「準備中」なんかの小さな看板をよく見かけますが、以前はほとんどのお店に「暖簾(のれん)」が掛かっていたら「営業中」といった具合で、店が開いているかどうかの目安になっていたような気がします。

 

お店の方も、店の「象徴」いった感じで、「暖簾に傷が付く」という言葉でも分かるように「暖簾」を大切にしてきました。

 

四季の寒暖差が大きい日本では、古来より温度調節の用具として用いられて来ましたし、見た目の「涼しさ」や「寒さ」を緩和する為にも重宝されてきたようです。

 

私も、若い頃から「暖簾」は好きでした。ただし、綺麗な物や美しい暖簾は、あまり好みではありません。家に有るのは、ザックリとした太い綿糸の布を藍で染めた暖簾ですが、絵も無く只、藍の濃淡だけのデザインの物です。夏場に使っているのは、麻の薄茶色の布に遊び心で描いた植物をモチーフにした物です。あまり暖簾が目立たないのが気に入っています。

 

暖簾も2~3シーズン使うとさすがに汚れてしまいます。風呂の浴槽に中性洗剤を入れ押し洗いしていますが、戦前・戦後の頃、食い物屋の暖簾はお客が汚れた手を暖簾で拭いて帰って行ったらしいです。暖簾が汚れ具合で、その店は人気が有るといった目安にもなっていたようです。

 

今では汚れた手を暖簾で拭きでもしたら、お店の人に叱られてしまいます。

私も余り汚さないように気を配ってしまいますが、昔の風習に暖簾本来の使い方を改めて知りました。