堺市の変人

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「欄間(らんま)」は座って見るもの

テレビ東京の「世界!ニッポン行きたい人応援団」で、襖(ふすま)好きのフランス人を日本に招待するという企画が放送されていました。

今まで、「金継ぎ」「折り紙」「砥石」「盆栽」「焼き鳥」「納豆」「抹茶」「天ぷら」・・・

 

それぞれに日本の職人さんに技を教えて貰うという企画ですが、今回は「襖」でした。

京都正伝寺の400年修復されていない襖には驚きました。徳川家康がお抱え絵師、狩野山楽に描かせたものですが、虫食いや痛み・色落ちが無く当時のまま現存していますが、科学糊では無く自然の小麦粉で作った「生麩のり」を使うといった伝統の技術により変色を防いでいるとの事でした。

 

襖の「引き手」も座って襖を開けるのにちょうど良い高さとなっているようです。

ドアに馴れている私なんかは、「ちょっと低いな」と常々思っていましたが間違いでした。

 

興味深かったのは、襖の部屋に付きものの「欄間」です。

欄間の彫師と外国人が立って欄間を観ていたのですが、彫師曰く「欄間は座って観るものです」との事、早速二人が正座して欄間を見上げた所、表と裏の彫り物が重なり立体感が増したようです。

 

座敷に入ると座るというのは当たり前の事ですが、欄間の製作はその事を前提に製作されていたとは遅いながらも新しい発見でした。

 

そう言えば、クラシック音楽にしても最近は作曲された時代に合わせ古楽器を使ったり小編成にしたりといった試みがなされています。

ベートーベンの「第九」なんかも私たちが今聴いているは、ベートーベンが聞いていたのとは大分趣が変わっているというのは容易に想像出来ます。

 

私たちが美術館や博物館で観賞する絵画や彫刻も、昔はLED証明なんか無い筈ですので、太陽光か弱い光のローソクでしかゴッホは見ていなかった筈です。

きっと今とは印象が違って見えていたでしょう!

 

「凍れる音楽」と言われている国宝「薬師寺東塔」は、天平時代の傑作です。見事なまでのリズム感とデザイン(バランス)は世界に誇れるものですが、これも人の目線で見上げて初めて感じるものです。

話題の「ドローン」なんかで撮影してもリズム感が台無しになってしまい何の面白味もありません。

 

「昔の人は偉かった!」とつくづく思ってしまいます。