一本目のヤシの木
私達夫婦はハワイ島に何度か訪れているのですが、初めて行った20数年前に比べると行くたびに町の様子が変わってきています。
この前には一車線だった道路を車線にするための工事の最中でした。
家内がハワイ島にはまり始めた頃、初めて現地でレンタカーを借りて自分達で島を周ろうという事になったそうです。
その時のメンバーは家内の職場の友人で女性ばかり4名(私は日本で留守番してました)
コナの空港でレンタカーを借りて「さあ出発」
当然、目指すホテルへの行き方が分かりません。(当時は日本語ナビはその頃ありませんでした)それでレンタカー屋さんの係員に聞いたところ
「ここを出て空港と反対側に真っすぐ行って、つきあたりにある信号を左に曲がるんだ、そして一本目のヤシの木の所を左に曲がったらホテルだよ」と親切に教えてくれました。
「これなら迷うこともなさそうだね」と出発!
しかし、言われた通り左に曲がったはいいが、いくら走ってもなかなかヤシの木が現れない?
溶岩の黒い大地を貫く真っすぐな一本道、慣れない左ハンドルと右側通行でヨタヨタ走っていたので余計時間が長く感じたのかも知れませんが、20分位走っても一本目のヤシの木どころか家の一軒も見当たらないので不安になったようです。
見逃したという思いが確信に変わり始めた頃、正面の眺望が開けて遠くまで見通せる場所に出たとたん、青い海と山並みと黒い大地の上に続く道の遥か向こうにヤシの木の茂る場所が見えたそうです。
「あぁ・・、きっと一本目のヤシの木はあそこのことやね」とそれからは只ひたすらそのオアシスを目指して車を走らせたそうです。
初めての運転でスピードを出せなかった事もあるようですが、ホテルまで一時間弱かかったそうです。(でも一本目のヤシの木まで信号も一切なかったそうです。)
「一本目のヤシの木まであんなに遠いなんて日本では考えられない!」と家内は言います。
その道もいまでは途中に信号も出来、別のホテルができたので新しくヤシの木も植えられました。
町が変わっていくのは便利な面もありますが、やはり少し寂しいものです。