堺市の変人

堺市から情報を発信する変人親父です

「死人の手」

ポーカーで「死人の手」というのがあります。

西部開拓時代のガンマン「ワイルド・ビル・ヒコック」がポーカーをしている時に撃たれて即死した時の手が「1と8のツーペア」、以来この手は「デッドマンズ・ハンド(死人の手)」と呼ばれています。

 

西部劇の名作「駅馬車」にも、このトランプの手が効果的に使われています。

駅馬車」といえば1939年に製作された監督ジョン・フォードとミスターアメリカとも称された名優ジョン・ウェインが初めてコンビを組んだ西部劇の金字塔です。

 

B級役者だったジョン・ウェインがこの映画でジョン・フォード映画の看板俳優となったのは有名な話ですが、さすが名作、白黒ですが最新のカラーのハイビジョン作品と比べても全く見劣りしていません。

 

西部の平原を舞台とし、駅馬車ネイティブアメリカン・騎兵隊・酒場・決闘そして勧善徴悪と、西部劇の要素が全て揃っていて、これぞ「西部劇」といった作品です。

ジョン・ウェインの若々しさも面白いですが、さすがジョン・フォード、一画一画が絵になっています。どのカットを切り取っても絵画を見ているような気にさせられます。

監督の映像に対する妥協の無さが窺える作品といえます。

 

この映画のクライマックスとも言える決闘前のシーンでリンゴ・キッドの敵役のルーク・プラマーがポーカーをしていた時の手が「死人の手」でした。

結果、ジョン・ウェイン扮するリンゴ・キッドが仇討を果たすのですが、小道具(ポーカーの手)使い方には唸らされました。

 

良く煙草やグラスなんかの小道具が映画の中で上手く使われているのは良く見かけますが、この映画のカードの使い方は絶妙です。

物語の先を暗示させるような「死人の手」は、推理小説のように効果的で見る者を引き付けているようです。

 

アカデミー賞の7部門にノミネートされ、助演男優賞と音楽賞に輝いていますが、「小道具賞」があればこの映画で決まりです。ポーカーの手が、粋な小道具の使い方を越えて結末を示唆するというのは憎らしい限りです。

 

因みに、この年のアカデミー賞は、大作「風と共に去りぬ」が8部門を獲得したようですが、好きな映画ですので公開が一年でもずれていたらと思ってしまいます。