「夜の大捜査線」
田舎町の警察署長のビル(ロッド・スタイガー)とフィラデルフィアから来た凄腕の黒人刑事ヴァ―ジル(シドニー・ポワティエ)の絶妙な掛け合いが見どころの「夜の大捜査線」、名作中の名作です。
ロッド・スタイガーとシドニー・ポワティエ、二人のアカデミー賞俳優がみせる微妙な間合いには感心させられますが、二人の会話は全てアドリブだったとは驚きです。というより信じられません!
アカデミー賞の五部門(作品・主演男優・脚色・編集)を受賞していますが、やはり、この映画の良さは人種問題をタイムリーに捉えている事に尽きるような気がします。
有名なマーティン・ルーサー・キング牧師の「私には夢がある」の演説が1963年、公民権法(差別禁止)が成立したのが1964年、この映画の制作が1967年ですので、アメリカで公民権運動が盛り上げっている最中の作品という事になります。
登場人物の心理描写がきっちりされていると共に、推理小説のようにストーリーが展開しますので「ハラ ハラ」「ドキ ドキ」、観ていて飽きません!
CGも無い時代です。この映画で史上初めて「ズームレンズ」を使ったという事でも分かるように、普通のフィルムカメラでそのまま撮っています。人間が飛んだりしませんので、かえって現実感が有ります。
黒人に偏見を持っていたビルも最後にはヴァ―ジルの刑事としての腕を認めざるを得ず、駅を去る終幕では握手をして別れるというアメリカ的なエンドとなっていますが、アメリカの人種問題の根の深さを改めて考えさせる映画です。
黒人俳優のポワティエは、黒人俳優として初めてアカデミー賞を受賞しましたが、同じ人種問題をテーマにし、彼がアカデミー賞を受賞した「手錠のままの脱獄」、
これも観て損はしません!