映画「遠過ぎた橋」
この映画「遠過ぎた橋」は、第二次世界大戦後期に行われた連合軍の空挺作戦「マーケット・ガーデン作戦」を題材にしています。
架空の物語で無く、史実を題材にしていますので「史上最大の作戦」と同様、見ていても嘘っぽく無いのがいいです。
「史上最大の作戦」が178分、この「遠すぎた橋」が175分ですので、どちらも大作です。
どちらの映画も、俳優陣が豪華です。
この映画の出演は、ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、マイケル・ケイン、ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンス・・・
演技に定評のある名優が総出演といったところです。(因みに、ショーン・コネリーは史上最大の作戦にも出演しています。15歳若いですが・・・)
この作戦は、「ノルマンデー上陸作戦(オーバーロード作戦)」とは違い、後の歴史家にモントゴメリ―元帥(イギリス)の最大の汚点と言われているように、多くの犠牲者を出し失敗に終わっていますが、第二次世界大戦という人類の教訓ともいえる戦争の悲惨さを、失敗に終わった無謀な作戦として映像化しています。
オードリー・ヘップバーン、ロジャー・ムーア、スティーブ・マックイーンにもオファーがありましたが、ギャラや役柄・日程等で出演がかなわなかったようです。
いかに配役に力を入れていたかが窺えます。
軍用車両や航空機の大量投入と多数の超大物俳優の出演により、製作費が大きく膨らんだようですが、アッテンボロ―監督のこだわりを感じざるを得ません。
本作の製作費は2,700万ドル、史上最大の作戦1,200万ドルの2倍以上ですので、間違い無く超大戦争映画ですが、細かな人物描写もしっかりと描かれていますので、途中で飽きる事無く最後まで観てしまいます。
さすが、リチャード・アッテンボロ―が妥協を排し、こだわった事が頷ける作品です。
連合軍は、作戦目標の5つの橋の内、4つまでは占領、しかし、最後の橋までの数キロを進軍出来なかった事で多くの死者を出しながらも失敗に終わったようです。
作戦失敗が決まった後のアーカート少将(ショーン・コネリー)と作戦遂行責任者のブラウニング中将(ダーク・ボガード)の会話が印象的でした。
多数の死傷者を出し作戦が失敗したにもかかわらず、中将は
「モントゴメリ―元帥はご機嫌だよ、ことの他」
「ご機嫌だ?」
「そのとおり、作戦は90%成功したと言われた・・・」
「それで、あなたの意見は?」
「私ははなから、あれは遠すぎた橋だと思っていたよ・・・」
何か今に通ずる失敗を認めず責任逃れをする権力者の理論を風刺しているようです。
戦争は悲惨です。絶対に戦争は起こしてはなりません。
犠牲となるのは兵隊であり市民です。
指導者が生き残っても・・・