ちょっと気になる「成長路線」
政府・日銀や地方自治体においても、多くの政策が経済の成長を前提に進められています。
勿論、「限界集落」を抱えているような地方は、経済地盤の沈下が深刻な問題となり喫緊の課題となっていますが、総体的にみると多くの地域で「人口誘導策」と中心とした地域活性化を目指す施策が目立っています。
堺市においても、「近大病院の移転」に象徴される大きな企業の誘致や箱物を作って人を集めるといった政策が中心となっています。
企業等の誘致は、自治体同士のパイの取り合いといった感が拭えませんし、堺市の「利晶の杜」のような箱物も、費用対効果という観点からも疑問が残ります。
全国のほとんどの地域で、今後、確実に人口が減少していきます。
どこかで「経済の成長」に頼った政策には限界が来るのは明らかです。
海外の発展途上国へ市場を移して行く事も当然の方策ですが、カントリーリスク・為替リスク・フェアトレードといった、さまざまな課題が不安要素となる可能性が払拭出来ません。
世界の発展のためにも、グローバルな政策(戦略)は当然必要なもので可能性を追求すべきですが、全ての自治体がボーダレスに政策を展開出来るという事は、まず考えられません。
ここで、必要なのが「人口減少」「マイナス成長」を前提とした政策です。
確実に税収が減りますので、現在の行政レベルが維持出来なくなる事は明らかです。
50年先には人口が3分の1、100年先では2分の1という時代を見据えてこれから準備していく事が求められています。
当然、既得権に囚われない改革が求められますので、人々に苦痛を強いる事になる事は十分に予想されます。
ただ、今の動向は、問題を先送りしているだけのような気がしてなりません。
遅れれば遅れるほど傷は深くなり回復にも時間がかかってしまいます。
今日までの「成長路線」に頼った考えから、「マイナス成長」下の経済理論が必要です。
欲しいものが買いたくても「我慢」といった時代が必ず到来するような気がします。
しかし、時代の変化を見据え、変えるものは変えて行く。そのための「我慢」なら仕方が無いです。
非現実的な「成長路線」を追い求め、その場しのぎの政策に税金を使うといった事だけは、そろそろ控えるべき時期にきています。
活性化に向けての「戦略特区」だけでなく、税収が30%減少、経済はマイナス成長といった地域を「特区」として、さまざまな試みをやってみても良いかも知れません。