元気の「ゲン」
以前預かっていた犬に「ゲン」という柴系の雑種がいました。
雄の柴犬と同じくらいの大きさです。
見た目もほぼ柴犬、そして捨て犬でしたので年齢は1~2歳位という事でした。
「次はこの犬を預ってください」と団体の代表から言われて、写真を見せてもらった時、「なんか元気そうな犬だなぁ」と思って「ゲン」と家内が仮の名前をつけました。(里親さんが決まるまでの仮名です)
「ゲン」は名前のとおりとても元気な犬、というよりハッチャケてました。
家の犬(先住犬)は他犬からかまわれるのを嫌います。(自分の気分が乗った時だけ遊ぶ大変我儘な犬です)
「ゲン」が「遊ぼう!!」と誘っても基本スルー、相手にしません。
しつこく誘いをかけると「ガウッ!」と威嚇しますが実力行使に出ないのが我が家の凡犬、相手が引きさがってくれれば深追いはしません。(問題犬なりの数少ないとりえです)
今まで預かった犬は常識があったのか、相手が怒れば止める犬ばかりでした。
しかし、「ゲン」は違います・・・
ゲンは相手がいくら怒っても誘う事を止めませんし、逆に相手が怒るだろう事をあえて仕掛けていきます。
相手が思い通りに怒ったら面白そうにしている、あえて怒りを誘っているような犬でした。
喧嘩した時は両成敗が基本ですので凡犬も「ゲン」も両方叱ります。
凡犬は叱られてショボンとしていますが、片や「ゲン」は全く応えていません。
しばらくすると同じように凡犬が嫌がる事を仕掛けていって・・・の繰り返しでした。
トレーナーさんに教えてもらったとおりに叱っているのに?
今までこのやり方で他の犬も躾てきたのに?
我が家の犬はストレスでお腹を壊すし、家内も「この子はもう無理かも」と半分ギブアップ状態!
「ゲン」はというと、どこ吹く風と涼しい顔をしていました。
今まで、これ程てこずった犬は初めてでした。
躾は何時からでもOK!といった自信が根底から崩れてしまいました。
そんなゲンでしたが、やはり若い犬ということで案外すぐに里親さんが決まりホッとしました。
トレーナーさんに躾ができなかった事を報告すると「あの位の大きさの犬でしたら、もう少しキツイ叱り方をしても大丈夫です」という事でした。
確かにテレビなどを見ていますと、柴の母犬が自分の仔犬に対してマジギレして怒っている映像などが流れています。
そんな時は母犬も少しきつ目に仔犬を噛んでいるようです。
そんなゲンでしたが、今は里親さんの元で文字通り元気にしているそうです。
里親さんが叱っても効かないゲンの躾に頭を悩まされ、トレーナーさんに教えてもらって少し厳しく躾けたら治まったそうです。
ゲンは今20キロ位になっているという事を聞き驚きました。ほぼ大型犬です。
「なーんだ、家に来た時はほんの五ヶ月くらいの仔犬だったんだ、元気があり余っていて少々叱ったくらいでは効かなかったはずだ」と納得しました。
保護犬は、親犬の大きさなど分かりませんので時々こういう事があります。
てっきり成犬だと思い躾に悩んだのですが、仔犬だった事が分かりスッキリしました。
それ以来、我が家は極力仔犬の預りは避けています。(それでも、時々仕方なく預ってますけどね)
可愛いですが仔犬は悪魔です。預かりには覚悟が必要です!