堺市の変人

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イギリスの動物愛護

イギリスはペット先進国です。「英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)」という非営利団体が市民から動物虐待の通報があれば、インスペクターと呼ばれる動物専門官が出動し、調査した上で虐待が認められた場合は警察と連携して動物を保護します。

虐待と認定されれば飼い主が引き渡しを拒否しても無駄なようです。

 

「この団体の歴史が古く1824年に設立されています。元は鞭で打たれて身体を壊す馬や、酷使されて死んでしまう牛が多かったことから、ロンドンの貴族がポケットマネーで捜査員を雇ったのが始まりでした。」(BIGLOBEニュースより抜粋)

 

王立(ロイヤル)という称号も受けていますので、イギリス王室のお墨付きのようです。

そこで働く「インスペクター」と呼ばれる動物専門官がいます。

彼らは別名アニマルポリスとも呼ばれますが、警察と同等の権限は持っていません。

しかし、市民から動物虐待の通報を受け、虐待が行われていると認識したら警察と連携して裁判所の令状を取り、飼い主から強制的に動物を引き離します。

法的に認められている行為なので飼い主が引き渡しを拒否しても無駄です。

 

この職業は、イギリスでも大変人気のある職業らしく、かなり倍率が高いようです。

しかし、その職務は想像を越えるきつさのようです。番組の中で密着取材していたインスペクターがやっと保護したシェパードは、ネグレクトを受けていると共に、身体に痛みを伴う重い病にかかっていました。結果、治療を諦めた獣医によって、犬が安楽死を選択された場面がありました。

当然、彼は動物が好きだからこそインスペクターという職業についています。

職業柄、このような場面は何回も経験されている筈ですが、命を救えなかった事に感極まり、インタビューを中断と言う場面がありました。

 

それを見ていた家内は、「私だったら精神的に持たないわ!」と言っていました。

精神的に相当な重労働のようです。

勿論、救出に成功して幸せになった犬のほうが多いとは思いますが、罪も無い命が無くなっていく現実には厳しいものがあります。

 

この「RSPCA」は保護した動物の譲渡も行っています。

保護した動物は一匹につき一部屋、清潔で快適な部屋を与えられ、新しい飼い主が現れるのを待ちます。スタッフは勿論、登録している市民ボランティアによってきちんと散歩にも連れて行って貰えています。

 

驚いた事に、イギリスでは91歳のお年寄りにでも動物を譲渡可のようです。

日本の保護犬や保護猫の譲渡は大抵の団体が「60歳以下の方のみ」とかの年齢制限を設けています。犬や猫よりも早く飼い主が亡くなった場合の事を考えると、年齢制限も仕方が無いと思っていました。

 

しかし、イギリスの保護施設では年齢は関係なく、譲渡される動物にとって最適の条件であれば何歳の人にでも譲渡してくれるようです。

これは、飼主居なくなっても、しっかりしたサポートシステムがあるから出来る事です。

 

散歩に行けないお年寄りが犬を譲り受けた場合は、近所のお散歩ボランティアが散歩に連れて行ってくれます。

もしも、飼い主さんが先に亡くなるような事があっても、事前に申し込んでおけば協会が引き取って里親さんを探してくれます。

 

番組の中で、ゲストの石田ゆり子さんが「歳をとるほど動物に一緒に居て欲しくなるものだと思う」と話しておられるのを聞いて、「ハッ」としました。正にその通りです!

 

日本でもお年寄が安心して動物を飼えるような制度ができれば良いのにと思いますが、いかんせんペット後進国の日本では、まだまだ先のことのような気がします。

なにせ、虐待されている人間の子供でも助けられない国です・・・

 

日本という国は、子供にしても動物にしても、絶対的に弱い者を守るという堅い信念を持っていないようです。

そういう意味では、ペット後進国だけでなく、(子供の)人権後進国のようです。

世界では「先進国」と呼ばれていますが、「先進国」という言葉が空しく聞こえてしまいます。

 

便利な世の中になって、街には物が溢れていますが、心の中は貧しくなっているような気がしてなりません。