映画「忠臣蔵」
年末ともなれば、ベートーベンの「第九」と並び話題となるのが「忠臣蔵」です。
先日も1958年に製作された「忠臣蔵」が放送されていました。
一昔前の典型的な時代劇です。題材も日本人好みの「仇討」ですが、大映創立18年を記念し、長谷川一夫、市川雷蔵、鶴田浩二、勝新太郎、京マチ子、山本富士子、・・・
当時の大映トップスターが総出演しています。
台詞から振り付けまで今とは違う古さを感じますが、歌の下手な歌手がブラウン管を賑わす今とは違い、全ての出演者の演技がしっかりしているのには感心しました。
「忠義」は当然の事ですが、「親子愛」「母子愛」「兄弟愛」は勿論「男と女の愛」が随所にちりばめられていますので、最近の映画よりも余程心に伝わってくるものがあります。
史実は別として、講談調で娯楽性満点ですので見ていて飽きません!
歴史小説の名作「竜馬がゆく」も著者司馬遼太郎の演出(主観)が多分に入っていますので、娯楽映画では民衆受けするストーリーも頷けます。
この映画の良い意味での「古さ」が全く気になりません。何から何まで古い映画ですが最後まで観てしまうというのは、しっかりと作られているからか?と首を捻ってしまいますが、そのまま歌舞伎などの舞台でもいけそうな気がします。
「舞台劇」寄りの「映画」といった感覚です。
人類愛と世界愛をテーマとしたベートーベンの「第九」は、年末になると各地で演奏されますが、この「忠臣蔵」の体制におもねる事無く正義を貫く四十七士の志は、日本人の心に響き愛され続けています。
若い頃は洋画一辺倒でしたが、「時代劇」も洋画に勝るとも劣らないと思えるような歳になりました。