堺市の変人

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「不染鉄」という画家

横山大観富岡鉄斎平山郁夫東山魁夷若冲・・・

大家といわれる日本画家の展覧会は全国各地で開催され広く親しまれています。

 

でも「不染鉄」という画家の名は、あまり知られていません。

大正から昭和にかけて活躍した画家ですが、写生旅行のため伊豆大島式根島に行って漁師になってしまい3年間も帰らなかったという逸話もあり変人?らしさを物語っています。

 

私は画の事はよく分かりませんが、その生き様が気になって少し調べてもました。

やはり変わっています。絵の題材は、「廃船」や「古い自転車」等、一般的な日本画の題材からは程遠いものがあります。風景を題材にした「山海図会(伊豆の追憶)」なんかも伊豆の海の向こうには富士山、ここまでは一般的ですが富士山の向こうには雪の山並みと、なんと日本海まで描かれています。「ともしび」の題材は山中の古家、窓から明かりが洩れていますが決して美しいものではありません。

 

晩年は奈良で過ごしたようですが、70歳の不染鉄は小さなあばら屋で一人気ままに絵を描いていたようです。

入るのも躊躇するような小さな建物に驚いている訪問者に対し不染鉄は、「僕はね今までの思い出を画にしているんだよ、思い出はいっぱいあって楽しいよ。それを全部画にしているんだよ。だから寂しくなんかないんだよ」と言います。

 

また、ある時には「あばら家で将棋を楽しんでいる。立派な家もいいけど、ツギハギの家もいいですな。身にしみて美しい。かわいい」「テレビが毎日歌や踊りやお話をしてくれる。こたつはとてもあたたかい。眠くなるとこのまま横になって寝る。いい人になろうと思う。いい人になるといい夢ばかりでてくる」

 

まるで良寛和尚のようです。

彼の画は、決して部屋を明るくしてくれるようなものではありませんが、真実がこもっているような気がします。

奈良県立美術館に彼の画が有るようですので、展示を確認して是非観に行ってみたいと思っています。

 

最近、テレビは、「文部省」や「財務省」、「新潟県知事」なんかが連日話題となっていますが、そんな世界とは全く別の所に「不染鉄」は今でも生きているような気がします。