堺市の変人

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「宗教随想」

柳宗悦の著書に「宗教随想(春秋社)」があります。昭和35年に刊行された書物ですが、同48年に三刷が発刊されています。

50年以上前の書物です。しかし、今でも古本として宗教選集の5巻として、一冊1,000円位で販売されていますのでたいしたものです。

 

私も若い頃に読んだのですが、いつの間にか行方が分からなくなっていました。

もう一度読みたいと思い、家内に頼みアマゾンで買って読み直してみると、半世紀以上の時を越えても十分通用する思想に改めて感心させられました。

 

柳宗悦は、「民芸」運動の提唱者として陶芸界では知らぬ者はいない有名な思想家ですが、もともと宗教哲学者ですので、仏教への造詣が深く禅や真宗の教えが分かり易く記されています。

 

1952年にバーナード・リーチ浜田庄司そして柳がアメリカを訪れた時の事が記されていました。

 

セントポールの講演で、ニューヨークの工芸店経営者が「価格について」と題し「作り手はなるべく高く店に買って貰いたいし、店は利益を得つつ、なるべく安くお客に売りたい、双方の思いの妥協点で価格は決まる」という現実的な話がされた時、柳は、「日本で河井(寛次朗)や浜田(庄司)の場合は、西洋と反対で、この二人の作家は、どれほどの値で買ってくれと主張した事がない。・・・売れるのはむしろ恵みだと考える。それゆえ、決して高く売る権利を主張したことがない。これを知っている店のほうでは、こんな謙遜深い作家のものは、なるべく有利に作者に酬いるようにすべきだと考え、店の利得をできるだけ少なくして、作者たちに酬いる。それで価格は、双方の権利の主張の妥協点で決まるのではなく、双方の無欲と感謝の接点で決まる・・・」といった東洋の考え方を紹介したようですが、一番感じ入ってもらえたのが、キリスト教の尼さんだったようです。

 

なかなか現代では、そのような事は無いかもしれませんが、東洋思想、特に宗教の中には今でも独善的でない無欲と感謝の心が息づいているような気がします。

 

「アメリカ ファースト」「ポピュリズム」という文言が紙面を飾る今日、改めて東洋思想を見直す事も大切では?

そんな事を考えさせる書物でした。

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