堺市の変人

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映画「タバコ・ロード」

タバコ・ロード」の製作は1941年、80年近く前ですので、私の生まれる前の作品です。

ストーリーは単純で、貧農がら逃れられない農家をテーマにしたドタバタ劇といった感じを受けました。

 

しかし、白黒の映像は、さすがジョン・フォード

“西部劇の神様”と言われた監督ですが、「怒りの葡萄」と同じように「白黒」で映し出される映像は、貧しい農家の人物や生活を余すところなく伝えてくれます。

カラーでここまで深みが出るかな?と思ってしまいます。

 

フォード監督は、西部劇では「西部の強い男」を美しい映像(絵)と共に映像化しています。しかし、貧しい農家を題材とした作品も、古さは感じさせるもののカラーとは違う雰囲気を持っているようです。

 

「開拓時代のアメリカは、農夫とカウボーイが創った」とフォード監督が言っているようです。

一つのカットを二回以上撮らずアクションシーンはリハーサルを絶対に行わない。

移動撮影は好まず、カメラが三脚に乗っていると機嫌が良かったといいます。

 

「静かなる男」で、4度目のアカデミー賞を獲得していますが、「赤狩り共産主義排斥)」当時のハリウッドの風潮を嫌って授賞式を欠席したといいますので、確固たる信念があったようです。

フォード映画のジョン・ウェインそのものの生き様です。

 

ジョン・フォードといえば「駅馬車」「黄色いリボン」のような西部劇が浮かんで来ますが、「怒りの葡萄」「わが谷は緑なりき」そして「タバコ・ロード」といった「労働者物」は、人生の「喜び」や「悲しみ」を豊かな詩情を伴い映像化されています。

 

それにしても、フォード監督の映像は、全てのカットが絵になっています。

一画一画を妥協なしにこだわって作り上げているようです。

 

黒澤明監督は終生、ジョン・フォードを尊敬していました。

初期の黒澤作品、特に白黒映画は、フォード映画の映像の香りがします。