「ソメイヨシノ」がなくなる?
菊と並んで愛されている「桜」は、100種類以上の自生種と、自生種から育成された園芸品種が200種類、細分すれば600種類もあるといわれています。
多くの種類の「桜」がある中で、毎年春になると日本中の話題を独占するのが「ソメイヨシノ」です。
淡いピンクの花が重たげに咲き誇る様は、まさに春の風物詩の代表です。
でも、この「ソメイヨシノ」は、桜の世界では新人のようです。
一節には、江戸時代末期に江戸の染井村(現東京都豊島区駒込)の造園師によって育成され販売された「吉野桜」を吉野の「山桜」と区別するため「ソメイヨシノ」と命名されたようです。
この「ソメイヨシノ」、自然種ではなく育成種ですので意外と寿命が短く、一般的には60年と言われています。
病気にも弱く「てんぐ巣病」に感染しやすいようです。
感染部位は数年で枯れてしまう事から枝を切るといった措置が行われています。(てんぐ巣病の薬はありません)
樹齢50年を超えると幹が空洞になるものが多いため、倒木の危険も出て来ることから、自治体の中には弱って倒木の危険がある樹を順次、てんぐ巣病にかかりにくい「ジンダイアケボノ」に植え替えているようです。
しかし、ピンクの色が濃い「ジンダイアケボノ」よりも淡いピンクの「ソメイヨシノ」の方が人気があるようです。
全部の桜を「ジンダイアケボノ」に植え替えていく計画を立てていた自治体も、住民の強い要望を受け必要最小限の植え替えに方向転換しています。
見比べてみると、確かに濃いピンクよりも淡いピンクの「ソメイヨシノ」の方が風情があります。
江戸時代以降、花見と言えば桜、桜といえば「ソメイヨシノ」!
どれだけ多くの人が、「ソメイヨシノ」の下で「花見酒」を楽しんだ事でしょう。
一日でも長く淡いピンクの花を楽しみたいと思います。
「ソメイヨシノ」の短命の原因として、車の排ガスや花見客が根を踏み荒らす事が指摘されています。
「ソメイヨシノ」の延命には、花見のマナーも大切なようです。