堺市の変人

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ワルターのベートーベン「田園」

1808年12月にウィーンの劇場で催されたベートーベンの作品発表会で、第5「運命」と共に初演された第6「田園」、前売り券の売れ行きが悪く、少ない聴衆が暖房のない劇場で震えながら聴いていたようです。

 

名曲として親しまれている「田園」の第2楽章「小川のほとりの情景」は、「私が《小川のほとり》の楽章を書いたのは、ここだったよ。あそこの上のコウライウグイス、ウズラ、夜ウグイス、カッコ―などの小鳥が私と一緒に作曲してくれた」とベートーベンが友人に語っているように、実際に小川のせせらぎにインスピレーションを得たもののようです。

 

「田園」は、曲としても一遍の誌のような雰囲気を持っています。

余りにも有名な第2楽章ですが、心地よさは最高です!

私の愛聴盤は、ワルター指揮、コロンビア交響楽団の1958年盤です。

 

「田園」となると、ついついこのCDに手が伸びてしまいます。

フルトベングラ―の情熱、遊び心溢れるクナッパ―ブッシュ、厳格なトスカニーニと並び超一流の指揮者ワルターの音は、優しさ溢れるものです。

 

ユダヤ系故、ナチスの迫害を逃れるため、アメリカに渡ったワルターですが、一度は引退したワルターを旧CBSが、ワルターのためにコロンビア交響楽団を編成し、ステレオによる全レパートリーのレコーディングを行った時の一曲です。

 

60年前の演奏ですが、さすが音にこだわった録音ですので、詩(うた)の心が余す事無く表現されていて古さを感じさせません。

最新の機材と技術を投入しても、この演奏をこえるものは出来ないのでは?

なにせ、聴いていると実際の小川の風景が浮かんで来て楽しいの極みです。

 

現代の演奏と何が違うのかな?

50年以上前の録音(演奏)ですが、なかなかこの演奏を越える事は難しいようです。

不思議なものです。

一つ言える事は、昔の名盤は良くも悪くも確固たる「志」が有るような気がします。

 

ただ、楽譜通りに音が綺麗に音で鳴っているのと違い、人を引き付け放さない音には、高い「志」があるようです。

ワルターの「田園」、何度聞いても飽きません!