弱過ぎる凡犬
先日、朝の散歩の後に凡犬にフードを与えても食べない事がありました。
凡犬は人一倍食い意地が張った奴で、我が家に来て8年間、一度たりともご飯を食べない事も、残す事もありませんでした。(凡犬の食い意地はピカイチです。)
そんな奴がご飯に全く口をつけない?!
ちょっと気になって出先から戻った家内に言うと「それはおかしい!」と騒ぎ出しました。
「ちょっと試してみる」と大好物の「焼き芋の皮」を持ってきました。
預り犬の「チビ助」が大喜びで皮を頬張る横で、凡犬は欲しそうな顔をしてお座りしていますが、皮を口元に持って行っても食べようとはしません。
「絶対おかしい!」家内は大騒ぎ、次に凡犬の大大大好物の鳥の砂肝を素焼きにしたものを持ってきました。
砂肝を凡犬の口元に持っていくと、一旦咥えて直ぐに足元に落として、それからそおっと咥えてゆっくりともぐもぐ噛んで食べていました。
何時もは家内の指ごと食ってやる!というような勢いで食べますので、どこか具合が良くないようです。
「食欲はあるが食べられない、口の中に原因があるのかも・・・」と言う事で動物病院に連れて行く事になりました。
動物病院の先生も、口の中かなと「歯茎を見えるようにして下さい。」と飼主に、仕方がありません、私の出番です。(預り主は家内ですが???)
(柴犬は痛いと凶暴になる子も多いようで、先生も自分では犬の口を開けないようです。)
しかし、見える範囲では、歯茎が赤く腫れている所は見当たりません。
「おかしいなぁ?」と皆で首をかしげていたので、家内が持参していた砂肝を試しに与えてみると、ビックリです。いつもの勢いでガツガツと食べています。
「えっ?なんで食べるの?」と不思議がる家内を横目に、先生の指示で口の上下を持って大きく口を開けてみました。
「なにするねん!」と暴れる凡犬の口の中を覗いた家内が「あっ!舌の横が少し赤くなってる!」と声をあげました。先生も赤くなっている部分を確認されたようです。
家内が「多分、チビ助とじゃれている時に、チビ助の歯が凡犬の舌に当たって赤くなっているのだと思います、そこが痛くて食べなかったのだと・・・」と言うと、「いや、いくら何でも、あんな小さな傷でご飯を食べないようにはならないでしょう」と先生が笑っておられます。
「いや、この犬は本当に痛みに弱くて、これくらいの傷でも十分考えられます」と家内、そう、凡犬は雨粒がお尻に当たっただけでも「キャン!」です。
「すみませんでした、お騒がせしました・・」と先生に謝って診察室を後にしました。
先生は笑いながら「じゃあ様子を見ておいて下さい」と言われていましたが、本当に穴が有ったら入りたいとはこの事です。
赤くなっていると言っても腫れもしないで、歯の跡が筋状に――・――― ←こんな感じの傷です。(全長2センチくらい、中心の・はすこし歯が食い込んだのかもという感じです。血も出ていなかった筈です。)
もともとビックリする程大袈裟な奴でした。
以前、避妊手術をした時には、二日くらい「世界で一番不幸な犬」と思えるくらい暗く落ち込んでいました。(でもご飯はしっかり食べていました)
先生、忙しいのに済みませんでした。
横で凡犬が何時もの如く「ガツ ガツ」飯を食らっています。
我が家の凡犬は、やはり凡犬でした。