堺市の変人

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揺れる「ウィスコンシン州」

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業のアメリカのウィスコンシン州マウント・プレザント進出で、州内で議論が巻き起こっています。

鴻海が13,000名の雇用を生み出し、労働者らに平均5万ドルを支払うと約束、荒廃した街が鴻海の進出で活気溢れるスタートアップのハブに生まれ変わるという期待があったようです。

 

鴻海は、100億ドル(1兆1,000億円)を投じて、マウント・プレザントの大半を占めるような工場を建設し、最新の大型液晶テレビを量産する約束をしていました。

しかし、ここにきてスマートフォンの売上低迷により、大型液晶テレビの製造はしないと方針を変えています。

 

液晶テレビの計画が大幅に縮小という事になれば、それに関連する地域のガラスメ―カー等のサプライチェーン(関連企業)も縮小。当然、工場は最新の設備(ロボット等)が導入されます。

高いスキルを持ったエンジニアは域外から集まるため、スキルを持たない労働者が多い地域の雇用は期待外れ・・・

 

住民には、性急に進められた不透明な経過により、見捨てられたという思いが募っています。エコノミストのティム・バルティックは「20年以内に、絶対にやってはいけないことの典型例と記憶される」と厳しい評価をしています。

 

州は、鴻海が負担する賃金の30%(アメリカの平均の10倍)を補助金として総額45億ドルを補助するようですが、今後、何年も毎年3億5,000万ドルが税金から支出されるというのですから驚きです。

 

ウィスコンシン州では、製造業への事業税がゼロというケースが多いようですので、巨額の税金を使った大企業の誘致も蓋を開ければ税の負担だけが残っていたという危惧も現実の問題として起こっているようです。

 

遥か海の向こうの出来事ですが、人事ではありません。

わが国でも、規模は小さいですが各地で同じような事が起こっているような気がします。

企業だけが得をし、市民が税負担という形で割を食うというのは馬鹿げています。