深まる日韓の溝
元徴用工訴訟を巡り、日韓関係がギクシャクしています。
日本の最高裁にあたる韓国の大法院が、1965年の日韓請求権協定に反するかのような新日鉄住金への賠償命令を確定させて以降、未だ問題解決への話し合いの場さえ設定出来ない状態に陥っています。
日韓基本条約に付随して交わされた日韓請求権協定は、国と国が正式に結んだ協約ですが、日本が有償・無償合わせて総額5億ドルを供与することなどで、日韓両国及び国民の間の請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」と明記しています。
これにより日本は、戦時中の韓国の国及び国民の日本対する請求権問題が解決したとの主張を行っています。
韓国国民が請求権を行使するのは、韓国政府に対して行うべきという事です。
片や韓国は、大法院が日本企業に対する賠償命令を確定した事からも分かるように、韓国政府から日本に対する請求権は協定により発生しないものの、一個人(韓国国民)が日本企業に請求権を行使する事は協定の範囲外としています。
私は、戦争行為における被害の補償という事については、いつまでも引きずる事無く、何処かで一定の整理をしていかなければ新しい時代に進んでいけないような気がします。
日本も戦時中、原子爆弾の投下も含めてアメリカの無差別爆撃による死者が20万とも100万人とも言われています。
戦敗国日本は、戦争犯罪ともいえる民間人を標的とした無差別爆撃の被害を求める立場では無かったとはいえ、戦後日米双方の被害の請求権については整理を行っています。
東京空襲の被害を米国(米企業)に請求するといった事は絶対にありません!
日米は、戦争という歴史的な惨事を乗り越えて新しい日米関係を築いてきた事は、歴史が証明しています。
これからの日韓関係を考えると、極東の安定(政治・経済・軍事)という観点からも、今まで以上の強固な同盟関係を築いて行く事が求められています。
本来なら米国が日韓の仲介に入り、問題解決に進んでいってもらいたいものですがトランプのアメリカが仲介に入るといった動きは無いようです。
日本は、あまり感情的にならずに淡々と譲れない部分を主張し事務的に手続きを進めていくのが得策のような気がします。
日本の政治家の中には強硬論を唱える人を居るようですが、一歩判断を間違えば今の米中貿易戦争のように泥滑にはまってしまいます。(国民の分断を煽り人気を保つ手法は「怒り」をパワーしていますが、「理性」による解決の方が社会は安定します。)
政府間の交渉・仲裁・国際司法裁判所への提訴等、冷静に事務的に進めていくべきです。
私は、日韓が隣人として今まで以上の強固な同盟関係鵜を築く事が出来ると信じています。
2017年の訪日外国人は、韓国からが700万人余りと国別では1位です。2位の中国が56万人ですが、韓国の人口が5000万人、中国が14億人ですので韓国での日本人気が窺われます。
韓国で最も行きたい旅行先№1も有り難い事に日本です。
戦時中の心痛む経験を乗り越え、世界(極東)の平和という観点からも両国のパートナーシップは最重要課題と言えます。
世界の最高峰の磁器「李朝白磁」は、「高麗青磁」と並び日本陶工の憧れとなっています。
この韓国の焼き物には「一度でも良いから観てみたい」と思わせる清楚さと気品がありますが、これ程の焼き物を生みだした国ですから、必ずやこの試練を乗り越え「平和への道」を日本と共に歩み出せると信じています。
両国共に間違っても一時の感情に流されてはいけません!