トランプの関税
今日の新聞記事に「トランプ関税 米に跳ね返る」という記事が掲載されました。
トランプ大統領は、「米国第一」を掲げ、米国の産業と雇用を守るために輸入品に高関税を課していますが、今や中国との間で関税戦争の体をなし双方譲り合う事無く持久戦といった状態に陥っています。
ここに来て米ゼネラル・モーターズが、素材や部品の高関税に耐えかね北米の5工場を2019年に停止し、6,300人の雇用が失われるといった事態になって来ました。
北米40工場の12%が高関税政策のあおりを受けて稼働で出来なくなったようです。
米国の雇用の回帰を進めてきたトランプ大統領ですが、いつもの如く「米国はGMのために多くの事をやってきた。我々は強い圧力をかけている」と不満たらたらのようですが、それも当然、生産を止める工場は大統領選で支持を集めたラストベルト(さびついた工業地帯)にも及んでいますので大統領の怒りもひとしおのようです。
ただ、この事はGMだけの問題で納まりそうにありません。
米フォード・モーターも18年通期で10億ドル(1,100億円)のコスト増から世界規模のリストラを検討しています。
対中国の高関税の影響が米国の多くの企業、それも大企業の収益に暗い影を落とし始めています。
結果として、豊かな生活になれた米国にブーメランのように大きなつけが回って来るような気がしてなりません。
いくら大統領が雇用維持に向けて圧力を掛けても税金で補填するといった事が出来ない民間企業には限度があります。
そろそろ関税合戦以外の道を模索する時期に来ているような気がしてなりません。
米国内の企業の足腰を強くするような政策が求められています。
よい物を造れる企業の育成無しに米国の雇用回帰はなし得ません!
造っても商品に魅力が無ければ売れません!高関税政策も問題の先送りにしかならないのは自明の理です。
自由貿易と競争力のある企業の育成がセットのはずですが、そのどちらも放棄するという米国の政策には疑問を感じざるを得ません。