堺市の変人

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「緩和 物価偏重は危うい」

日銀は5年に亘り、「2%の物価上昇が経済成長には欠かせない」として、異例とも言える低金利国債の買い取り政策を展開してきました。

結果は、2015年に0.8%だった物価上昇率は、2018年9月に1.2%と目標の2%からは程遠いもので、日銀もようやく短期的(今後の2年)には、2%達成が難しく政策の副作用にも配慮していく事としたようです。

 

元々、物価目標(インフレターゲット)は、高い物価上昇は経済の不安定性を招くとしてインフレ率を抑制する為に各国で採用されたものですが、逆に物価の低下(デフレ)は経済の成長を妨げるという考えもあり、物価の上昇→経済成長→賃金アップという好循環を想定し日銀は2%の目標達成に向けて邁進してきました。

 

私自信、金利0%、国債の買い取りで無理にバブルを起こすような政策には少し違和感を持っていました。

更に、政府が「3%の賃上げ」を経済界に要請するという、経済原則を無視した強引な手法にも「賃金が上がる事」は歓迎しますが、経済環境が整っていないのに強引に賃金を上げて良いものか?という疑問がどうしても拭い切れません。

 

老後の生活の糧になる年金、避けられない医療費、増え続ける公的負担・・・

私なんかは心配の方が先にたってしまいます。なるべく支出を抑え将来の心配の種を少しでも抑える事しきりです。

 

50年先には日本の人口は3分の2、100年先では2分の1といった人口予測が国立人口問題研究所から出されていますが、「経済成長」どころか「マイナス成長」という言葉が頭をよぎります。

 

世界で最も早く「少子高齢化」が進む日本、人類が未経験の課題を日本がどう乗り越えて行くか世界が注目しています。

「人口減少」「高齢化」「財政赤字」「貧富の格差」・・・

これらの最重要課題が単純な「インフレターゲット」を目標とする金融政策だけで乗り越えられるとは、私にはどうしても思えません。

 

11月9日の日本経済新聞に、白川前日銀総裁のインタビューが掲載されていました。

「緩和 物価偏重は危うい」という記事ですが、さすが生粋の日銀マン(セントラルバンカー)、批判的な言葉を避け、淡々と持論を述べています。

白川氏は、物価安定の重要性に触れながらも「金融緩和は一時的な需要の落ち込みには有効だ・・・だが需要の前借りにも限度がある。先進国にとって需要ショックの局面は終わった。金融政策で今の日本の最重要課題は解決しない。」と語っています。

 

政府・日銀の政策に異を唱える事が憚られるような世相にあって、セントラルバンカーの心意気を見たような気がしました。