堺市の変人

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映画監督「クロード・ルル―シュ」

「ダバダバダ ダバダバダ」というスキャットで有名なフランシス・レイの名曲「男と女」、同名の映画「男と女」、男女の心の揺れ動きという感情が見事に表現されたフランス映画の代表作です。

名曲が映画の主題歌以上の役割を持っています。この映画はこの曲が無ければ成り立たないような感じさえ抱かせます。

私は、勧善徴悪のアメリカ映画や、人間の心に深く切り込んだようなイタリア映画の方が好きですが・・・

 

先日、「SONG TO SOUL」という番組でこの曲が紹介されていましたが、ルル―シュ監督のインタビューが印象的でした。

私が感心したのは、映画「男と女」です。内容は別として監督の「クロード・ルル―シュ」の映画作りへのこだわりが大変好感が持てました。

 

先ず、この映画の主題歌「男と女」の歌手「ニコル・クロワジ―ユ」に監督が求めたものは、「君が美しい調べを歌うことに興味はない。美しい調べに興味はない」「君の声が外れたり、嗄(シャガ)れたりした時、感情により声が詰まった時に僕は感動する」それを聴きたい。

ルル―シュ監督は、楽器のような声でなく、心を語る声を望み、感情が高まると喉が詰まるような状態を望んだというのですから彼のこだわりは大したものです。

 

映画そのものに対するこだわりも徹底しています。

「私が映画に望むことは見えないものを撮影することです。映画監督として矛盾していますが見えないものを撮影するのが好きなのです。」

「何よりも私は人々の無意識に夢中になります、だから映画ごとに人間の真実と誠実さを求めます。」

「俳優は愛したり死んだふりをします“ふりをする”のが彼らの仕事です。でも私は“ふりをしない”状態が好きなのです。私は俳優が自分を解放し人間である自分自身を見出すのが好きで、俳優でなく人間を撮影したいのです。」

「この映画は私に平凡な映画をつくるべからず、監督と監督中心の映画をつくるべし・・・と私に語りかけています。この映画のおかげでイカサマ(誇張や飾り?)をしないことを決めました。」

 

映像の中で演技よりも生身の人間の動きを求めた感性は、さすがだなと思わせる物があります。

白い恋人たち」や「愛と哀しみのボレロ」なんかも、映像から芸術を感じてしまいます。

ルル―シュの作品は、ある意味アメリカ映画と対極をなすものだと言えます。

「軟弱?」といった思いがあったフランス映画ですが、その価値を再発見させられた番組でした。