堺市の変人

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ブルーノ・ワルター

ワルターといえば「ベートーベンの第6番」を思い浮かべてしまいます。

1958年に録音された、コロンビア交響楽団との優しくチャーミングな演奏は、一度聴いたら他の演奏は聴きたく無くなるような深みを持っています。

 

私が若い頃は、カラヤンが人気No1といった時代でしたが、ひねくれ者の私はワルターでした。聴いていてウットリしてしまい優しさに包みこまれるような演奏はカラヤンには無いものです。(個人的な感想です)

 

このコロンビア交響楽団は、コロンビアが当時革新的なステレオ録音をカルフォルニアで引退生活を送っていたワルターの為に、特別編成のオーケストラを用意し依頼したものでした。

昔のモノラル録音が絶対的に劣るのかというと、数十年を経た今でもトスカニーニ等の演奏が今でも発売され続けている事を考えると一概には言えないのは事実ですが、現在は当たり前のステレオ録音の創世紀を飾った事だけは確かなようです。(最新のステレオ録音でもモノラルの名演を越える事はなかなか出来ません!)

 

それにしても、トスカニーニNBC交響楽団同様に指揮者のためにオーケストラを用意するというのは今では考えられない事のように思えます。

クラシック人気が高かったと共に、アメリカの豊富な財力が有ったからこそ出来たような気がします。

 

楽譜至上主義・即物主義とも言われ激情型のトスカニーニと頬笑みを感じる幸福感に満ちたワルターという対極的な二人ですが、同時代にアメリカで演奏し人気を拍していたようです。

今と違い古き良きアメリカの包容力の大きさを感じずにはおられません。(パックスアメリカーナの時代かな?)

 

トスカニーニのベートーベン、確かに音はいまいちといった感がありますが、演奏を聞くと「ハッ」とされられます。「志」を感じてしまいます。

ワルターなんかは、知らぬ間に涙が出てきてしまいます。

どれもが百年以上前の演奏ですが、何かが今と違います!