堺市の変人

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「ポン菓子」

家内の叔父の引っ越しを手伝いに行った時でした。

荷物整理の合間にベランダから景色を眺めていた時、ふと見ると近くの道路に一台の軽トラが止まっており、そこに50~60代のご婦人が5~6人集まっておられました。

何だろう?と思って見ていると「ぼんっ!!」と聞き覚えのある大きな音が鳴り響きました。

そうです、昔懐かしい「ポン菓子」の移動販売車です。

 

家内はそれを見ると大慌てで、叔父さんに「おっちゃん!米だして米!それと砂糖!」と言い、手伝いもそっちのけで引っ越し祝いに持ってきた米を適当にビニール袋に入れだしました。そして、米と砂糖を持った家内は急いで移動販売の車の方に走って行きましたが、間一髪で車は出発してしまいました。

それでも家内は諦めません。ゆっくり走る車を追いかけること100m、次の販売場所でポン菓子屋の叔父さんに「お願い!」、しばらくして、大きなビニール袋一杯のポン菓子を手に意気揚々と帰ってきました。

 

「ポン菓子」とは米に圧力をかけた後に一気に開放することによって膨らませた駄菓子の一種である。名称は「ポン菓子」「パンパン菓子」「ドン菓子」など地方によってさまざまな呼び名があるようです。

 

子供の頃には、この「ポン菓子」を製造する機械を車に乗せて各地を回っている移動販売がありました。

ポン菓子屋さんが近所に来ると「ボンッ!!」という米を爆ぜさせる大きな音が聞こえてきますので直ぐに気が付きます。

 

その音を聞きつけたら「米」と「砂糖」を持って行き(業者さんによっては米だけ)お金を払ったら、今か今かと「ポン菓子」が出来るのを待っているのですが、米を爆ぜさせた後、大きな樽に入れ、そこに砂糖を煮溶かした液をかけて手際よく混ぜ合わせてくれます。それをビニール袋に入れて持って帰るのですが、まるで「宝物」を貰った時のように「嬉しくて嬉しくて」飛んで持って帰ったのが懐かしく思い出されます。

 

米と砂糖だけで作られたポン菓子はとても優しい味がします。

今ではめっきり見かけなくなったポン菓子屋さん、久しぶりに懐かしい風景に出会えてとても嬉しくなりました。

でも、気を良くした家内が「定年退職したらポン菓子屋さんしながら全国を回りたいなー」とか言い出したのには驚かされました。もう忘れているとおもいますが?(忘れてくれていますように!)

 

洒落たお店で手の込んだお菓子を頂くよりも、米を爆ぜさせ砂糖シロップをまぶしただけの「ポン菓子」の方が、還暦を過ぎた年代のオッサンには余程美味しく感じられます。

今でもスーパーで買う事が出来ますが、ポーンと音が鳴って出て来る「ポン菓子」の味は格別でした。