ちょっといい「本」
東洋経済新聞社から「ことばのご馳走」という本が出版されていました。
1991年に発行されていますので既に30年近く経ちます。
今でもPHP研究所から新装版が950円で発売されていますので驚きです。
200ページ余りの親書版ですが、中には人を元気づけ職場を明るくするような218の話が紹介されています。一つの話が1ページ位ですから読み易いです。
筆者の金平敬之助氏は、大手民間保険会社の営業畑を経験されていますが、文章が軽妙で大変読み易かった記憶があります。
一文を読んで共感したり教えられたりといった具合で、「アッ」という間に読み終えました。
今でも心に残っているのは、3話の「天眼鏡の話」です。
ある支社の新商品の勉強会に参加した。
資料が配られた。字が小さかった。
みんなぶつぶつ不平を言った。
一番前に70歳を越えた女性職員がいた。「さぞ、見えにくいだろう」と同情した。
本人は一言も文句を言わずに、黙って天眼鏡を取り出した。
「ベスト20位には入る優積者です」と、あとで支社長から聞いた。
何を事さらといった話ですが、30年を経た今でも妙に心に残っています。
ややもすると、「不平」や「文句」が先に立つ事が多い私ですが、不平も言わず「黙って天眼鏡」には返す言葉がありません。
「あっ そうか」「参ったな」の連続で自己嫌悪におちいる感もありますが、読んで損の無い本です。