堺市の変人

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「殺処分ゼロ」の定義

2013年度に13万匹弱だった犬猫の殺処分数が16年度には5.6万匹に減っているようです。

6年前に改訂された「動物愛護法」では、犬猫の殺処分が無くなるよう殺さずに譲渡に努める義務が都道府県に課せられた結果、42の自治体が「殺処分ゼロ」を目指して活動した結果のようです。

 

環境省は、今年度改訂予定の「動物愛護に関する指針」に「殺処分ゼロ」の定義を明確にするようです。

今までは、自治体から譲渡された人が、噛まれたり感染したりしないよう譲渡対象から外された犬猫や保護中に死んだ個体も殺処分数に入っていたため完全に「殺処分ゼロ」には出来なかったようですが、定義の見直しで「殺処分ゼロ」の自治体が増えてきそうです。

 

しかし、今回の指針改定は安易な飼育放棄に対する抜本的な対策とは程遠いものといえます。26年度に殺処分されている犬猫の内、病気や攻撃性があり「譲渡が適切でない」されている犬猫は1.6万匹に達するようですが、この数を殺処分にカウントしないというものです。

 

問題の多い生体販売、動物愛護団体への安易な譲渡、虐待や飼育放棄という飼い主への罰則、悪質ブリーダー対策・・・愛護センターに持ち込まれる個体数の抜本的な軽減策がなにも盛り込まれないままの取り組みは、私には単なる数合わせとし思えません!

 

第一、攻撃性の有無についても定義がなされていません。実際、保健所等で矯正出来ないワンコでも優秀なトレーナーさんの居る団体に譲渡されると適切な躾により良いワンコになっている事もしばしばです。

病気のワンコでも、例えばフィラリアなんかは余程重症で無い限り根治可能です。

 

保護団体に譲渡される犬猫は少なくなっても、実際の処分数は増えてしまっているという事態も十分に予想されます。病気や攻撃性を理由に殺処分数を増やしてもカウントされないのですから数合わせは簡単です。

このままでは、日本は何時まで経っても「ペット後進国」の汚名は拭えません!

 

ドイツでは、「犬税?」があるようです。(そのお金でシェルターなんかが整備されています)ワンコはシェルターかブリーダーから迎えるようですが、日本のペットショップのような生体販売はありません。というより生体販売は虐待となり許されないようです。

また、初めてワンコを飼う飼い主は、ワンコと共に躾教室に通うのが基本中の基本という風潮もあります。その結果、公共交通機関やお店、レストランでもワンコと一緒というのには驚きました。

 

ペットショップの生体販売を即禁止という事は難しいようですが、少なくともペットショップが犬猫の販売時にハウスチェックをしたという事は聞いた事がありません。

どのような環境で飼われるのかチェックもしないで売れさえすればよいという姿勢は問題が多いといえます。

加えて、販売後も躾に十分なフォローを行っているショップは皆無では?

犬猫に対する「愛」が全く感じられない事は残念でなりません。

 

別にヨーロッパのようなペット先進国の真似を今直ぐにやれと言うつもりはありませんが、法や指針の改訂が数合わせではなく、少しでも実質的な「殺処分ゼロ」に近付くようにしてもらいたいものです。

このままでは、無責任な人間のために病気になったり攻撃的になった犬(猫)は、殺処分されても数字に表れず、「殺処分ゼロ」だけが増えていく危険性が出て来ます。

実態は変わらずに数字だけが良くなるというのは、私にはどうしても理解できません。

 

いくら病気や攻撃性があっても、殺処分は殺処分です。

病気や攻撃性のある犬猫を生むのは人間だということを忘れてはならないと思います!