堺市の変人

堺市から情報を発信する変人親父です

損得と忖度(犬バージョン)

歴代の我が家の預かり犬で、ずば抜けて頭の良かった犬が二匹います。

どちらも雑種の黒い犬で雌犬、一匹は三か月預かったのですが、最初のうちは人を全く信頼せず、私が近づくと牙を剥いて威嚇してくるような犬でした。

でも、一旦「この人は大丈夫」と信頼すると、それはもう一生懸命に私の意に添うような行動をしようと考える犬でした。一度教えた事は守れるし教えていない事までも、自分で考えて「これはこうしたほうがいいのだろう」と忖度できる犬でした。(良い意味での忖度です)

 

もう一匹の犬は自分が楽しむ事に貪欲!

生まれて初めて連れて行ってもらったドッグランで走る事の楽しさを覚えたら、肉球を怪我しても走り回り「生きている事はこんなにも楽しいんだ!」と身体を使って目一杯喜びを表現するような犬でした。

 

この二匹目の犬も頭が良いのですが、頭の使い方が少し間違っています。里親に貰われていった先でも大暴れしているようで心配してしまいます。

こういう頭の良い犬は、悪い事をした時に飼い主さんがしっかり叱りきってくれたらいいのですが、中途半端に叱ると「この程度の叱られかたなら大丈夫」とばかりに余計図に乗ってしまいます。

 

「この人は叱らないからここまで悪い事をしても大丈夫、あの人の前で悪い事をすると叱られるからいい子にしてよう」とその場にいる人によってちゃんと態度を変えてきます。それは見事です!ドッグトレーナーの前ではとてもお利巧な犬、でも飼い主さんの所では傍若無人な犬になるというジキルとハイドのように二つの顔を見事に使い分けます。

 

例えば、トレーナーさんの目の届くところで誰かがオヤツをくれようとした時には、キチンとお座りして自分がオヤツを貰える順番が来るまで待てます。(私、お利口です!というワンコの声が聞こえて来るようです)

 

でも、飼い主さんしか居ない時にオヤツをあげようとすると、真っ先に飛びついてオヤツを食べてしまいます。

その場その場で自分が損(叱られる)をしないように損得を考えて動いているのです!

 

こう書くと、とても憎たらしい犬のように思われるかもしれませんが、とても元気がよくて、頭も良く、足も速いので信頼関係さえきちんと結べれば、一緒にアジリティー競技なんかも楽しめる素晴らしいパートナーになれるような犬です。

 

この二匹の犬の違いは「飼い主の犬に対する接し方が違う」というだけの話です。

叱るべきところは厳しく叱って、褒めるべきところはメチャクチャ褒めてやる。そのことをするかしないかで同じように頭のいい犬でも別の犬になってしまいます。

損得と忖度、どちらの犬になるかは飼い主次第です。

 

最初の犬の名誉のために、ここで言う忖度は政治の世界で使われている、今はやりの忖度ではなく、本来の意味「忖度(そんたく)は、他人の心情を推し量ること、また、推し量って相手に配慮することである」という良い方の意味です。

 

因みに、我が家の凡犬は今回の話に出てくる賢い犬達とは全く遠い位置に居る少しお馬鹿さんの犬である事は確かなようです。