堺市の変人

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「イヌイットの怒り」

BS世界のドキュメンタリーで「イヌイットの怒り」という番組が放送されました。

メインテーマは、イヌイットの生活の糧、家族を支える貴重な食料と収入減を奪わないで!といった内容でしたが、中身が大き過ぎたのか見終わっても暫くの間考え込んでしまいました。

 

イヌイットの伝統的な「アザラシ漁」が、ヨーロッパでは、国際的な動物愛護団体(IFAWI等)の活動によりタテゴトアザラシの毛革が輸入禁止になり、これを契機に毛皮一枚100㌦の水準から25㌦に暴落したと伝えています。(イヌイットの捕獲対象では無いようです)

北極圏のイヌイットが住む地域は、キャベツ一個が28㌦、ジンジャーエール(1ダース)が日本円で7,000円近くするというアメリカでも物価が高水準らしいです。

この厳寒地での数少ない現金収入手段が毛皮の販売ですから、イヌイットの生活や風習が成り立たなくなる事は容易に想像できます。

 

ヨーロッパ議会では、輸入禁止措置が大差で可決されていますが、フランスなどヨーロッパで食されるジビエ料理なんかは、私には必需品では無く嗜好品(贅沢品)のように思われてなりません。しかし、イヌイットのアザラシ漁は正に生活と家族を守って行く為に無くてはならないものです。

 

自然保護や動物愛護の行動を全て否定するつもりはありませんが、行き過ぎは禁物です。

第一、私達自信が自然からの恵みを受けて命を保っているのは間違いありません。(殺生しながら生きているともいえます)

少数だからといって無視するのでは無く、ライセンス制、漁法や頭数・期間の制限といった措置を設け、補助金に頼る事無くイヌイットが自立出来る道を探り彼らの文化と風習を守って行く事が大切です。

 

何時も飲み水を運んでくれた若者に老婆が「なにもお礼出来ないけど、あなたが腕の良い漁師になって皆に分け与えるようになる事を祈っている」といった言葉を実践している漁師の姿勢に、厳しい自然の中で生きて行くイヌイットの人々の風土に根差した生き方が詰まっているようです。

 

ちょっと厳しい言い方ですが、欧州議会議員も高級レストランでワインを飲むのを少し我慢し、現地に行って直接影響を受ける人々の声を聞く位の姿勢が必要なのでは?

 

一歩間違えればイヌイットの文化や生活が崩壊していく事は容易に想像出来ます。

アザラシ漁をしないイヌイットなんて、熊撃ちをしないマタギのようなものです!