堺市の変人

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突然の「鉄鋼・アルミ関税上げ」

アメリカのトランプ大統領は、3月1日に突然「鉄鋼とアルミの輸入制限」を発表し議論を呼んでいます。

鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課する方針のようです。

 

これについては、アメリカ国内でも異論が出ており、トランプ大統領が属する共和党上院コ―ニン院内幹事も含め、輸入制限を憂慮する共和党議員が続出していますので混乱が続きそうです。。

 

関税そのものは、自国産業を守る為に各国がそれぞれの輸入製品に課していますので、世界的にみても輸入制限(関税等)は必要悪?といった感がありますが、今回の鉄鋼・アルミへの関税は、少し首を傾げたくなってしまいます。

 

今回のトランプ大統領の方針は、純粋に国内産業の擁護という政策よりも、11月の中間選挙をにらんだ業界への選挙対策といった要素が強いといわれています。

 

ダンピング(不当廉売)の対抗措置として関税をかける事については、競争条件を公平にするという主旨から一定の理解が出来ますが、選挙対策の理屈付けが「国家安全保障」上の問題というのは、私にはこじ付けのようにしか聞こえません。

 

既にEU(欧州連合)は、対抗処置の準備に入っているようですし、中国も追随する可能性も否定できません。

「貿易戦争」、ちょっと大袈裟かも知れませんが、今回の「鉄鋼・アルミの輸入制限」が世界の公正な貿易の妨げにならない事を心から願います。

 

現在、アメリカはTPP(環太平洋パートナーシップ)から離脱しています。

TPPは、アメリカを除く11カ国(日本を含む)が参加し大筋合意に至っていますが、最終目標は、関税ゼロを目指しているTPPですが、アメリカは政権交代後にTPPから離脱しています。

最近、またアメリカは復帰を検討しているとの報道がなされています。

 

しかし、客観的・合理的理由が明らかでない今回の輸入制限を考えると、トランプのアメリカがTPPに復帰してきて色々な条件を付けて来ると、せっかく大筋合意に至っているTPPが振り出しに戻りかねない懸念があります。

TPPに参加国である日本の立場は難しいものがありますが、アメリカに追従するのか世界貿易を拡大する立場に立つのか、じっくり腹を据えて取り組んで欲しいものです。

 

それにしても、一時は世界の自由貿易拡大のリーダーシップをとっていたアメリカですが、今はトラブルメーカーのような気がしてなりません。

今ほど、「規律あるグローバリズム(国を越えた地球的共同体)」が求められる時はないのかも知れません!