英語吹き替え?
NHKのアナザーストーリーズ「007ジェームス・ボンド誕生の真実」を観ました。
「007ジェームス・ボンド」は、不滅のスパイ映画として1962年に制作された「ドクター・ノオ(邦題は007は殺しの番号)以来、今日でも続編が制作されて名作です。
スパイ映画としては娯楽性満点で申し分ないのですが、それ以上に映画音楽がこれ程に効果をあげている映画は少ないように思えます。
特に初回から使われているテーマ曲は、一度聴いてしまえば、これ以外には無いと思わせるようなハマり具合です。
この「ドクター・ノオ」は、当初制作予算が少なかったため、イアン・フレミングの長編小説「007」の中でも一番ストーリー的に安くいく作品を選んだようです。
ハイウッドで売れなかったプロデュサ―のブロッコリとサルツマン、これといった映画を撮って来なかった監督のテレンス・ヤング、無名俳優のショーン・コネリーを一躍有名にしたのですからドラマ性も十分です。
ショーン・コネリーは私の好きな俳優です。歳を経る毎に深みや重みを増しているように感じるこの名優も「ドクター・ノオ」に出演していなかったら世に出ていなかったかも知れません。
名優「ケ―リー・グラント」がボンド役を断ってくれたのが幸いでした。
驚いた事に、初回作品の「ボンド・ガール」の声は吹き替えだったようです。
007シリーズはヨーロッパやアメリカでの興行を視野に入れていたので、完璧な違和感の無い発音が求められたようです。
ハニ―・ライダー役の「ウルスラ・アンドレス」はスイス訛りがあるため、声は「モニカ・バン・ダ・ジルダ」の吹き替えです。
映画「マイ・フェア・レディ」でのオードリー・ヘップバーンの歌は吹き替えというのは良く知られていますが、全て吹き替えというのは驚きです。
演技の経験の無い「ボンド・ガール」と完璧な英語と表現力のモニカの吹き替えという黄金コンビで作品が出来上がっていったようです。
驚いた事にモニカは、007シリーズの10作品の英語吹き替えを行ったとの事ですが、ボンド・ガールで話題となった日本の浜美枝も彼女のお世話になったようです。
故に、007シリーズは違和感無く世界で受け入れらたた事を考えると、プロデュ―サ―の完璧主義が功を奏したと言わざるを得ません。
ただ、大きな貢献をした「モニカ・バン・ダ・ジル」の名が映画のクレジット・タイトルに出てこないのは残念です。