「エルサレム」の国連決議
12月21日、国連総会はアメリカがエルサレムをイスラエルの首都と認定した事に対し、認定の撤回を求める決議を圧倒的多数で採択しました。
残念ながら、国連総会の決議は安全保障理事会(安保理)の決議と違い法的な拘束力を持たないのが残念です。
今回の「米国の首都認定に反対する決議案」の採択では、賛成128、反対9、棄権35、明確に反対したのは米国を含め9ヶ国ですので約200ヶ国の加盟国のほとんどが米国の決定に異を唱えたことになります。
私が心配したのは日本が米国に追従するのではないかということでした。
幸いにも日本は賛成の128ヶ国に加わり「ホッ」としました。
米国がイスラエルの大使館をエルサレムに移転させると発表して以来、日本の対応が気になって仕方がなかったです。
もし、日本がアメリカに追従し反対の立場をとっていたら、国際社会から「どんな事でも日本はアメリカの言いなり」という目でみられるのは必定だったような気がします。
私は、唯一の被爆国である日本は、どのような情勢においても世界平和、戦争(紛争)の回避に向けてあるべき姿を堂々と世界に訴える権利と義務があると思っています。
今回の国連総会の採択が、各国が履行義務を伴う安保理の決定ならエルサレムの安定に向けての大きな一歩となったでしょうが、拒否権を持つ米国が安保理常任委員ですから望むべくもありません。
総会での採択が国連(国際社会)の意思を示す唯一の道であったようです。
投票に先立ちトランプ大統領は、決議に賛成票を投じた国に対する財政支援を停止するような発言をし、「こうした国は何億ドル、何十億ドルのもらっておきながら、わが国に反対票を投じている」「反対させておけばいい。かなり金を節約できる。・・・」と札束で頬をたたくような発言をしています。
冷戦時代を含めアメリカは力(経済・軍事力)で世界の平和と安定をはかる政策を推進して来ました。この「パックスアメリーナ」は、米国の圧倒的な経済力と軍事力が背景にあったものですが、そこには戦争や紛争、流血の惨事を防ぐという理念があったような気がします。
片や、今回の「大使館移転の決定」は、紛争の火種を大炎にするような危険性をはらんでいます。
日本政府が賛成票を投じたことに「ホッ」としました。