エフゲニ―・ムラヴィンスキー
フルトヴェングラ―・クナッパ―ブッシュ・ワルター・バーンスタイン・トスカニーニ・・・
日本でも親しまれている名指揮者の演奏は、時代を越えて人々に聴き続けられています。
フルトヴェングラ―、シューベルト「交響曲第9番」の独善的なまでの深さ!
クナッパ―ブッシュ、ワーグナー「ワルキューレ第一幕」の自由な遊び心!
ワルター、ベートーベン「交響曲第6番」の慈愛に満ちた優しさ!
バースタイン、マーラー「交響曲第第4番」のヤンキ―気質を想わせる素直さ!
トスカニーニ、ベートーベン「交響曲第5番」の妥協を許さない志!
どれもが、演奏を完全に忘れさせ音楽に没頭出来る名演です。
それに比べ、最近の演奏は、楽譜に忠実で綺麗にまとまり過ぎているような気がします。
聞いていても、想定内の音が流れて来て「ハッ」とさせてくれる演奏が少なくなっているようです。
フルトヴェングラ―しかり、クナッパ―ブッシュも楽譜を飛び越えたような演奏に魅力を感じます。そこに指揮者の信念・思いと言ったものが感じられたら最高です。
楽譜を忠実に綺麗に演奏しただけでは、名演は生まれません!
あまり知られていませんが、「ムラヴィンスキー」、旧ソビエトの指揮者ですが、彼の指揮するレニングラードフィルの音は、有名なカラヤン・ベルリンフィルとは対照的な音のような気がします。
流れる音は、楽器の数すら感じさせない透徹そのものです!
彼の演奏するベートーベン「交響曲第3番」、私はこの演奏を聴いて以来、「3番」は彼の演奏しか聞かなくなりました。
「何も引かない、何も足さない」という感じで誇張や虚飾が全く有りません!ですから聞いていても嫌味を感じる事無く「後味爽やか!」といった感じです。
彼は意外と日本びいきで「はじめ、文化果てる国に行くのだと思ったが、来日したら、ロシアの方が最果てだと思いました」と言い、カレーライスや餃子を好んだようです。
日頃はユーモアあふれる会話で周りを笑わせていたようですが、音楽と同様に生き様は妥協が無く、ソビエト連邦の旧体制の中でも生涯ソビエト共産党員とはならなかったようです。
これ程までの信念があったからこそ、媚びる事のない孤高の演奏が生まれ得たと感じ入ります。
一時は、共産圏の指揮者だということで少し距離感を感じていましたが、今では私にとってはベスト3に入る指揮者です。