堺市の変人

堺市から情報を発信する変人親父です

「真顔」と「笑顔」

昔行った講習会で

「日本では男性に対しては“日本男児”のイメージを持っておられる方が少なくない。だからこそ笑顔が武器になるのです。

女性には申し訳ないですが、接客する上で女性は笑顔当たり前と思われるのですが、ムスっと押し黙っているイメージの男性が真顔で笑顔になると、それだけで好印象を与えることができるのです。

仕事中は笑顔だと不真面目に思われるので、仕事中は真顔、お客様には笑顔を見せましょう。」

というような事を講習会で聴きました。真顔から笑顔に変わるそのコントラストが好印象を抱かせるらしい・・・という事で、その話の後「真顔→笑顔」の練習をさせられました。

 

その頃働いていた職場に来られるお客さんの中に「ムスッ」とした顔のお婆さまが居られました。

話しかけても返事もそこそこに用事を済ませたらさっさと帰って行かれます。

誰が応対しても同じような感じなので「気難しい方なのかな」「あまり話しかけられるのがお好きでないのかな?」と職場の皆は思っていました。それで、そのお客様とは仕事上必要な事のみ話しかけるという事務的な対応をしておりました。(決して無愛想にしていた訳ではありません。)

 

ところが、ある日、何かの拍子にその方が笑ってくれた事がありました。

その笑顔が本当に可愛くて(目上の方に対して可愛いという表現は失礼ですが、本当に可愛らしい笑顔でした。)、その笑顔を見た職場の同僚達がお婆ちゃんが帰られた後で「○○さん、めちゃくちゃ可愛い」と口ぐちに言い出しまして、その後はお婆ちゃんが来られると、笑顔見たさに何くれとなく声をかけるようになりました。

 

お話をすると、何かの病気で言葉が話し難かったこと、息子さんの家に最近やって来た事などが分かりました。

それからは、お婆ちゃんは私達によく笑顔を見せて下さるようになりました。

 

最初の頃の「ムスッ」とした態度は、慣れない土地で話し難いお婆ちゃんが気を張っておられたからだったのです。本当はとても優しくて可愛いお婆ちゃんでした。

 

お婆ちゃんは「笑顔」で周りの印象を変え、人間関係までも変える事が出来るというお手本を見せてくれました。

 

でも、それはそのお婆ちゃんの笑顔が見せかけの作り笑いではなく、その方の心を映し出すような本物の笑顔だったからだと思います。

 

久し振りにその時の職場の近くを通りかかった時、「フッ」と昔の思い出がよみがえりました。