堺市の変人

堺市から情報を発信する変人親父です

虹の橋を渡った譲渡犬

 以前、太郎という名の一時預り犬が居ました。

 立派な体格の黒柴で、我が家で一ケ月余りお世話をしたのですが、男気が強いせいか預かり期間が短かったのですが強烈な侍魂を発揮してくれました。

 私は行けなかったのですが、家内が譲渡会に太郎を連れて参加をした時、飼主に連れられたコーギーが太郎の近くまで来た時にハプニングが起こりました。

 それまで、リードを持つ人の足元でじっと伏せていた太郎が、吠えも唸りもせず表情一つ変えずいきなりコーギーの首筋にガブリ!

 コーギーは驚いて大きな声で「キャンキャン!」と鳴きまくったそうです。

 その声に譲渡会場は騒然となり、太郎とコーギーの周りには人垣が・・・

 しかし、二匹をいくら引き離そうとしても首筋に食らいついた太郎は絶対に相手を離しません!

 トレーナーさん(太郎の保護主さん)は、太郎の口を掴み離そうとしても開かないため挙句の果ては、水の入ったペットボトルで口元を殴りようやく引き離したようです。

 幸いにもコーギーはトレーナーさんの教え子の犬でしたので、飼主さんは「良い勉強になった」と言って下さっていたようです。トレーナーさんも「あのコーギーは飼い主が居たら強気になるから太郎も気に食わなかったのでしょう」と少し庇う言葉も聞かれました。

 私がその話を聞いた時の第一声は「太郎が勝ったんか?負けたんか?」と聞いたものですから家内から「そういう問題じゃない!」と人格を疑われた事が思い出されます。

 確かに我が家に居た時には、散歩の時にも他の犬がちょっかいを出して来たら「やるんか!」と言った素振りで相手の犬に向かって行く事がありました。散歩時にちょっと落ち着きの無いダルメシアン(子犬)に太郎が突っかかって行った時には、地面に押さえ付けて躾をしたのですが、その姿を見たダルメシアンの飼主さんが「そこまでしなくても・・・」とかえって慌てておられました。(やんちゃな奴ほど可愛いものです。)

 そんな太郎でしたが、頭を撫でてあげようとすると、撫でられる前から耳をぺタッと後ろに倒して嬉しそうにしていました。

 5年前に新しい飼主さんに引き取られていく時の事、さあこれから出発という時に、私が呼んでも何の反応もしなかった太郎でしたが、初めて会った今の飼主さんが「太郎」呼ぶと喜んで付いて行った光景が今でも忘れられません。きっと赤い糸で結ばれていたのでしょう。

 飼主さんは「太郎ちゃん 太郎ちゃん」と言って大変可愛がられていました。「幸せを運んで来てくれて有難う」と感謝されていました。

 少し前から体調が悪かったようですが、先日幸せな最後を迎えたようです。

 飼主さんの横で寝ていた太郎ですが、気が付いたらそのままの姿で死んでいたようです。亨年14歳(推定)、若い時のフィラリアが影響したのかも知れませんが大往生の太郎でした。

 安らかに眠っている太郎の写真を見ると、目頭に小さな真珠のような涙が浮かんでいたのが印象的でした。