堺市の変人

堺市から情報を発信する変人親父です

無人島に持って行きたいCD(Part5)

 自分の好みとは別に忘れてはならないCDが有るような気がします。

 ビリー ホリディー(レディ・ディ)の「奇妙な果実(STRANGE FRUIT)」は、CDのタイトル曲が一曲目に入っています。奇妙な果実とは黒人が木に吊るされている光景を歌ったものですが、内容が内容だけに大手レーベルでは録音出来ず、インディー(独立系)レーベルの「ドコモア」が録音を行ったという曰く付きのCDです。決して聞き易い曲ではありませんが、勇気ある録音に踏み切った「レディ・デイ」と「ドコモア」に乾杯といったところです。

 オスカー・ピーターソンの「ナイト・トレイン」!最後の11曲目「自由への賛歌」は、人種差別根強いアメリカ社会へのメッセージが込められているようで、彼の涙さえ感じます。粒立ちの良いピアノの音が大きく盛り上がっていくとき、いかに彼が差別に心を痛めているかが痛いように伝わって来ます。

 クラシックでは、スメタナの「わが祖国」を長年亡命していたクーベリックが地元オ―ケスタラのチェコフィルを指揮した1990年の録音は、チェコ民主化プラハの春)という新しい時代を象徴しています。此処まで来れば、もう演奏の良し悪しを超えたものが有るような気がします。

 最後にもう一枚、パブロ・カザルスが1961年に第35代大統領ジョン・F・ケネディの招きに応じて演奏した「ホワイトハウスコンサート」は有名です。

 祖国スペインのフランコ独裁政権をアメリカが承認した事から、カザルスは度重なるホワイトハウスからの招聘を断り続けていたのですが、ケネディからの招きに「この若き大統領は自由世界の実現に必ずや寄与してくれる」という期待を込めての演奏だったといわれております。熱き世界平和への思いを演奏に込めたという事でしょうか!

 そういえばピカソの「ゲルニカ」も同じような思いがこもっていたような気がします。

 最近、ビジュアル系やアイドル系の音楽が氾濫していますが、「志(ここらざし)」の違いを感じざるを得ません。

 楽しく売れるだけの音楽よりも「志」のある音楽が聞き続けられる事を心から願います。

 それはそうと、無人島にこんなに多くのCDは、持っていけないかも?

横から家内が、「無人島に電気なんかあるの?」「ジャケットを眺めるしかできないよ」・・・