堺市の変人

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青森のゴッホ

 版画(板画)で有名な棟方志功は、私の好きな作家の一人です。

 版板が窮屈に見える位大胆な構図の「釈迦十大弟子」なんかは圧巻です。筆で丁寧に描くのと違い版画はどうしても線が単純になります。それがかえって作者の思いをストレートに表現し、見る者に直接伝わって来るような気がします。版画は基本的に「白」「黒」の世界ですから色彩的に最も単純な表現方法ですが、そこから伝わってくるものは生半可ではありません。墨で表現された「釈迦十大弟子」は油絵に無い日本的な趣を感じます。

 「観音菩薩」を描いた一連の作品も、仏様には似合わない「色気」が志功らしく好感が持てます。「雨ニモマケズ」なんかは、宮澤賢司の純朴さと鑿で表現された文字が文句なくピッタリです。

 極度の近眼であった志功は版木に向かう時、眼鏡が版木に触れるくらい顔を近づけて彫っていたそうですが、以前テレビで放映された制作風景からは「少しくらいの間違いなんか関係無い!」といったような気迫を感じました。

 EMIから発売されているデュ・プレのチェロ協奏曲(ドボルザーク)を聴いた時にも「少々のミスタッチ」を超えるチェロの音に圧倒されたものでした。

 芹沢けい介(人間国宝)が「型紙」を切り出している時にも「間違って切ってしまった」と笑っていた事も思い出されます。

 「ワダ(私)は日本のゴッホになる」と言っていた志功は「世界の棟方」になったようですが、わが家の壁にも、志功の「菩薩像?」が掛かっています。(勿論複製ですから額の方が高いです。)コピーでも志功は志功です。毎日観てても飽きません!

 和室にも、ほとんど額代という「雨ニモマケズ」の複製が掛かっていますが、壁に比べ額が小さく少し変な感じです。

 もう少し大きめのものが有ったら良いのになあ・・・・・

 「グズグズしてやんと早よ寝えや!」と家内の声が聞こえて来ます。